時は流れ、過ぎ去るもの
ときは人の願いを無視して過ぎ去ってゆくもの。 
  しかし、もしもその時が止まり、再び流れ始めたら? 
  
  再出発


覚醒。

眠りからの覚醒。
精神と自らの体を休める行動のひとつ。
しかし、今日の彼は異常をきたしていた。そう、異常を・・・・・・


ゆっくりと意識が覚醒してゆくことを覚えたアキト。目の前が明るくなり、はっきりとしてゆく。
それと同時にアキトは気づいた。
「何!?目が、見える?それに感触も。」

体を覆っているタオルケットの感触が彼をしばし心地よくさせた。彼は自らの体を見る。
傷だらけの体。ISFの模様。そして、意識することによって形が変わり、具現する守護者の証。

けれども、その大きさは以前とは異なっていた。小さくなりまるで子供のような体。
そう、アキトの体は小さくなっていたのだ。不意にドアがノックされ人が入ってくる。

「アキト、早く起きなさい。お寝坊はいけませんよ。」
現れたのは
(母さん!!!)
幼きころにネルガル・シークレットサービスに暗殺されたアキトの母、ナツミであった。
「何幽霊に逢ったみたいな顔しているのよ。朝ごはんが出来ているわ。早く来なさい。」

「あ、ああ。」
「今日は随分と無愛想ね。」
そう言って彼女は出て行った。

「守護が求められる世界。ジャンプ技術の被害者を守れということか。つまりここは過去。」
しかし、アキトの周りには一緒にジャンプしたユーチャリスとラピスは居ない。
「ラピスは、どうしたんだ?居ないようだが。」
リンクで話し掛けても、彼女の存在は確認できない。
「今は、これからのことを考えるべきか。」
そう思ってアキトは着替えて顔を洗ってキッチンへ向かった。もちろん服は黒をベースとしたものを着用している。
「今日はおそかったな。アキト。」

イスに座り、アキトに話し掛けてくる男。父のアキラである。
「うん。昨日遅かったからかな?」
アキトは偽りの仮面を被り、笑いながら言う。
「そうか。早く食べるといい。さめるぞ。」
「分かった」
アキトは黙々と食べ始める。口腔に取り入れた味が懐かしさを出させる。

(こんな味だったか。)
そのとき家にチャイムが鳴った。
「アキト、ユリカちゃんじゃないの?」
それに少し戸惑いを覚えたがアキトは答えた。
「遊ぶつもりもないし、あいつの存在は俺にはいらない。だから家に居たいんだ。」
いきなりの低くていつもとは違う口調に驚くナツミ。

「そう・・・・・」
それからも何回もチャイムは鳴り続けたがアキトは無視し続け、朝食が終わると2階にある自室へと戻った。
ガチャンと音を立ててしまるドア。アキトは自分が寝ていたベッドに座り、周りを見渡す。
するとクローゼットが半分開いている。怪訝に思ったアキトはその中をのぞいていた。
そこに有ったのは青いクリスタル。

「永久CCか。」」
説明しよう!!永久CCとは一回のジャンプで消えてしまうCCなのだがチューリップは何度しても消えないことに目をつけたイネスが チューリップから削りだしたものである。削りだして一時間たつと青くなってくるのだ!!
アキトはCCを持つとイメージを開始する。浮かび上がるナノマシンパターンと守護者の証。目的地は北冠遺跡。

「ジャンプ。」
アキトは遺跡へとたどりついていた。目の前にそびえる金色の箱。
「どう言うことだ?過去でこれから起こる悲劇を食い止め、人々を守護するのは分かった。
けれども、ユーチャリスとラピス、アークはどこにやった?」
その声に答えるかのようにアキトの頭に声が響く。
【われらは全能では無く、時を見据えている。ユーチャリスと支えし者はすぐに連れてこよう。】

それと同時に遺跡上空にユーチャリスが現れた。
【支えし者の体は汝に合わせてある。人の欲求を満たすにはその者と同等の体が居るからな。】
なんだ?その欲求は?
【それはともかく既にイレギュラーが起こっている。それが汝の敵なのか、味方なのかは判らない。
けれどもそのイレギュラーこそがこれからの時、歴史となる。汝は守護者としてがんばってくれ。さらばだ】

遺跡が輝くことを停止する。結局遺跡は欲求についてアキトには語らなかった。
「まあ、良いか。ジャンプ。」
アキトは遺跡の発現を自らで丸め込むとユーチャリスへと向かった。

ジャンプアウトしたユーチャリスブリッジは以前と同じ様に薄い暗闇の中沈黙が漂っていた。
「アーク、館内の状況を。」
「ハイ」
ブリッジに響いた声の正体はオモイカネ・アークである。ウインドウでいちいち報告するのは認識に時間がかかるため
アキトが発案、ラピスがプログラミング、ウリバタケが音声発生装置を製作したのである。
そのほかにもアキトが考えているモノがあるのだがそれは又後の話。

「現在の当艦は遺跡上空で停止中。メインオペレーターのラピスはただいま自室にて睡眠中です。」
「そうか。しばらくはユーチャリスはこの場にとどまる。前のドッグにいったとしても捕まるのが落ちだ。」

「了解。」
その声を聞くとアキトはブリッジを後にしてラピスの部屋へと向かった。いつもとは視界が違い、見慣れた船内が違って見える。
ラピスの部屋。そこはラピスだけが入る場所であり、アキトもあまり入らない場所である。

アキトは部屋のキースロットルにカードキーを通す。すると空気圧の音がすると共にドアが開かれる。

室内は明るいライトブルーを強調とした壁、キッチン、バスルームがある。
未だに水に対しての恐怖心が捨てきれないのでアキトの部屋のバスルームを使用していたので
ラピスの部屋のバスルームは未だに人の生活感が感じられないのだがその他の部屋にはラピス愛用のものが
あったりしてラピスの部屋となっている。

寝室ではベッドが置かれており、その近くの棚にはイネスより贈られた植物が鎮座していた。
その部屋の主の居るはずであるベッドはちょこんと盛り上がっており、ラピスが居ることを謙虚にあらわしていた。
以前とは違い、体が小さくなっているのでアキトは四苦八苦しながらラピスを覆っていたタオルケットをはがす。
そこに居たのはラピス。けれどもその大きさは違っていた。今のアキトよりも小さく、幼い感じが以前より増していた。

「ラピス、起きろ。」
アキトはラピスを揺すり起こす。
「・・・・う・・うん、アキト。」
ゆっくりと寝ボケまなこのままで起きるラピス。
「あれ?アキト小さくなっている。」
「それはお前も同じだろ。」

苦笑しながら言い返すアキトの言葉を聞いてラピスは自分の体を見る。
「ホントだ。ここが、守護が求められる世界なの?アキト。」
「そうだ。ここ、つまり過去を守護しろと言うことだ。」
「過去?」
「そうだ。俺も気がついたときには元の自分の部屋に居た。母さんも父さんも生きている。」
「お父さん、お母さん?」
「そうだ。いつまでもラピスもユーチャリスにこもっててはいけないから俺の家にこないか?そのほうが良いだろう。」
「はい。」
ラピスは元気よく頷いた。


火星の草原、そこに光が広がる。ジャンプアウト。
「じゃあラピス、ここで待っていてくれよ。ジャンプ。」
アキトはラピスを置いて更にジャンプしていった。ラピスは周りを見渡してその場に座った。

あの後、ラピスがテンカワ宅に来ることは決まったのだがアキトは自分の部屋からジャンプしたので
いきなり自分の部屋からラピスを連れて一緒に暮らしたいといっても無理があるので一旦ラピスを草原において、
アキトが迎えに来ると言うことになったのだ。

そよそよとそよぐ風にラピスの桃色の髪が空を流れる。お尻の下の草の感触、ナノマシンの光が見える空。
資料やユーチャリスから見たことは有っても今まで感じたことの無かったことにラピスは驚きながらも喜んでいた。
そんなラピスの前に一人の女の子が現れた。
「ねえ、あなたは誰なの?ここら辺では見かけないけど・・・」
その女の子の言葉に驚いたがラピスは答えた。
「私はラピス。ラズリ。」

「ラピスちゃんだね。はい!!私はミスマルユリカ。もうあたしたちはお友達ね。」
そう、ラピスの前に現れたのは幼き頃のミスマルユリカ。既に彼女のGoing my weayは確立されている。
「なにして遊ぼうか?」
その会話をしている途中に一人の少年が現れた。ユリカの王子様[ユリカ視点]アキトである。
「ラピス、行くぞ。」
アキトは視界に入っていたユリカを完全に無視してラピスに呼びかける。
「はい。アキト。」

今はあまり変わらない身長なのでラピスはアキトの手に自分の手を重ねた。
赤くなりながらもラピスはアキトがこのことを否定しなかったのでラピスはちょっぴりうれしかった。
しかし、平穏とは続かないもの。

「あ〜!!!アキト、ねえ、どうしたの?アキト。今日は無視したままで出てこなかったけど。
あっそうか。後からゆっくりきてユリカを驚かしうとしたんだね。うん。そうそう。」

一人で言い始めて一人で完結したユリカを無視してアキトはラピスをつれたまま既に
ユリカから100メートル離れた地点に移動していた。
「ラピス、今日からは俺の家でしばらくは暮らすことになる。」
「はい。」
「最終的には父さんと母さんが殺される日までは普通に暮らす。けれど出来るだけ父さんも母さんも救いたい。力を、貸してくれるな?」

そのアキトの声を聞いてラピスは視線を下に向けて考えていた。
「うん。良いです。」
「ありがとうな。ラピス。」
「いいえ。」
ゆっくりと夕日が沈んでゆく。その中でアキトとラピスは一緒に帰った。
後からはユリカが何度も追いかけてきたのだがアキトとラピスは完全に無視していた。

「ただいま。」
「お邪魔します。」
静かな家に帰ってきたアキト。はじめてきたラピスは勝手がわからずに右往左往している。
ドアの向こうからやはりユリカの声がしているのだがアキトはさっさと鍵を閉めているので侵入していない。
「ラピス、ここは今日からはお前の家でも有るんだからお邪魔しますなんて他人行儀にしなくても良いんだよ。」
「はい。」
ラピスはうれしそうに頷いた。そのままアキトの部屋に行き、
腕にしたユーチャリスで回収したコミュニケでデータの洗い出しとプログラミング、
これからのことで資金稼ぎのためにゲームの有料配信など、資産の株式の買占めなどをしていた。

資金はユーチャリスで日の目を見なかったお金を使っている。
店ではカード対応が増えて居たので、実際のお金を使うのでリアルマネーを使う機会が少なくなったからだ。

そのため、カードのほかにもといってエリナがユーチャリスにある程度はつんでいたのだ。
ゲームは以前の暇つぶしなどでプログラミングしたものを使用している。以前といってもここでは未来の話。
プログラマーが飛びついてきてカウンターは進んでいく。その様子を見てアキトとラピスは笑っていた。

しばらくして、家に両親が帰ってきた。
「「お帰りなさい」」
アキトは普通に言ったのだが、その後に隠れていたラピスは小さな声で言った。
「ああ、ただいまアキト。ところで後の子は誰だい?」
「アキトの彼女かしら?」
いたずらを面白がるようなナツミの声を聞いてラピスは赤くなってしまった。
「この子は、ラピス、ラピス・ラズリって言うんだ。野原に行ったらそこに居て帰る家が無いって言うから
いっしょに連れてきたんだ。ねえ、一緒に住んでいい?」

そのことを聞いてお互いに相談しあうアキラとナツミ
「まあ、良いんじゃないの。ラピスちゃんもアキトが一緒だとうれしそうにしてるし。」
優しくナツミがラピスを抱きすめる。その抱擁に赤くなってしまうラピス。そのほほえましい光景を見ていたアキラも頷いた。

「そうだな。」
「ええ。」
ナツミが微笑んで言い返す。そのナツミの顔を見て
(母さんはこんな人だったんだな。)とアキトは少しこの母親を持ったことに誇りを感じた。
それからは夕食。
料理と聞いたラピスが一緒に手伝おうとした。

しかし今の彼女は知識は13歳でも体は3歳、無理なのでラピスは仕方なく諦めた。おとなしく食事を終えるとアキトは自室に戻る。
その後を追いかけるラピス。お風呂に行くアキト。その後を追うラピス。
「ラピス、お風呂は一緒じゃなくても良いだろ。」
俯いて考えるラピス。
「うん。後から入らせてもらう。」
「そうしたほうが良い。」

そう言ってアキトはバスルームに入っていった。行き場を無くしたラピスはリビングに戻る。
リビングではまったりとしているアキラとナツミ。
その2人の手には麦茶の入ったコップがあった。
「あら?ラピスちゃん。一緒に飲まない?」
そう言ってナツミが誘ってくるのでラピスはその誘いを受けることにした。
「ラピスちゃんはどうして草原に居たの?」
「アキトがそこで待っていてくれって言ったから。」
「アキトとは何処で知り合ったのかしら?」
「私はアキトに助けられた。私にアキトは色々なことを教えてくれた。最後に私はアキトが好き。」

「そうなの、それは良かったわね。」
微笑みながらナツミはラピスに一杯の麦茶を渡す。それはとてもおいしいものであった。
冷たい麦茶がのどを通る。
「お風呂開いたよ。」
アキトはそう言ってさっさと2階へと上がっていった。
「ラピスちゃん、一緒にお風呂に入る?」
そう言ってたずねてくるナツミ。ラピスはその提案を受けることにした。
「はい。」
「じゃ、いきましょうか。」

立ち上がるナツミについてゆくラピス。バスルームの湯船には2人が悠々と入れる大きさを保っていた御蔭でゆっくりと入っていた。

「ねえ、ラピスちゃん。」
「何?」
「ラピスちゃんはアキトのこと好きかしら?」
「大好き。私が今まであった人の中で一番優しくて、冷酷で、私のことをいつも見てくれるから。」
「そう。これからもラピスちゃんはアキトと一緒に居るつもりなの?」
「じゃあ、ラピスちゃんは私の娘だね。」
「娘?」
首をかしげるラピスにナツミは振り返る。
「そう、娘。ずっとラピスちゃんはアキトと一緒にいるつもりなんでしょ。」
こくんと頷くラピス。
「それだったら結婚したほうがずっと一緒に居られるじゃないの。だから私はラピスちゃんなら良いカナ?と思ったから。」
「本当に良いの?」
「良いわよ。ラピスちゃんなら。」

ゆっくりと夜は更けていった。

翌日

朝起きると光が入ってくる。
ぴぴぴぴぴぴぴぴ♪電子音が部屋に響く。
その音に反応してベッドの中から手が出てスイッチを押す。アキトはゆっくりとタオルケットの中から出ることにした。

しかし、彼は今身動きが取れる状況ではなかった。彼のそばにはもうひとつのふくらみがあり、
それはアキトの動きに反応して付いてくるのである。アキトはそれを見てタオルケットをはがす。
絹のような桃色の髪と閉じられた金色の瞳を持つ少女・・・幼女ラピスラズリである。

「一体いつの間にもぐりこんだんだ?」
アキトは寝ていても敵に反応できるようにある程度は警戒しているのだが、ラピスのは反応できないのである。
「ほらラピス朝だぞ!起きろ。」
アキトはラピスの体を揺する。ゆっくりとおき始めるラピス。
「おはよう・・・アキト。」
まだ眠いのか目をこすりながら答えるラピス。
「ああ、おはよう。」

アキトは布団から出ると着替え始める。ラピスもそれに習い着替えようとする。
ラピスは今はナツミが所持していたパジャマを着ている。何故持っていたのかは不明。
だがそのほかにも服を所持していたので女の子がほしかったのかもしれない。

着替えると2人は下へ降りる。キッチンでは既にアキラとナツミがきていた。
「ご飯は出来ているからしっかりと食べろ。」  
少し無愛想ながらに言うアキラ。
「ラピスちゃん何処行ったのかと思ったらアキトの所に行ってたの?」
顔を俯けるラピス。
「ごめんなさい。」

「良いのよ。そうしたかったんだったら今度から言ってね。」
微笑みながら言うナツミを前にしてラピスは真っ赤になってしまった。
「まあまあ、ご飯を食べましょう。」
イスを引いて勧めるナツミにラピスは従い座った。
「「頂きます」」
食卓に並んでいるのは鮭の塩焼きに野菜の炒め物。それお口に運んで食べる。噛むと同時に広がる少しまずい味。
ナノマシンの恩恵を受けた土で育てたものなのだがやはり地球の野菜よりまずい。

しかしその味はアキトにとって懐かしいものであった。ラピスは初めて食べた火星の野菜に
少し驚いたようだったがすぐに適応してもくもくと食べる。
「「ごちそうさまでした」」
食べ終わった二人を見て。
「お粗末さまでした。今日は何をするつもりなのかな?」そうたずねるナツミ。
「今日は近くを歩いてる。」
「そう、じゃあラピスちゃんも一緒ね。」
こくんと頷くラピスを見てナツミは頷く。
「じゃあ、行ってらっしゃい♪」
「「行ってきます」」外に出て歩き始める2人。
「昨日行った野原に行くか。」
「うん。」

野原につくと何処までも広がる緑の中、2人はその場所に寝転んだ。オーロラのようなナノマシンが空には広がっている。
「平和だな。」
「え!?」ラピスは隣に居るアキトに振り返る。
「平和。でもこれからは世界が忙しく動き始める。」
「はい。」
「出来ることなら・・」
「出来ることなら?」
「平和を維持したいな。」
「そうできたら・・・良いね。」
静かな時間が過ぎてゆく。でもその時間は心地よいものであった。

お昼どきには一旦家に帰り、料理を作った。作ったのはアキト。
初めてアキトの料理を食べたラピスは驚いたがそのおいしさにアキトに教えてほしいとお願いした。

そのお願いにアキトも喜んで承諾をだした。
午後は休んでから又近くを歩き始めて、ゆっくりと夕日になって2人は帰ることにした。
家でトランプをしていた2人の元にナツミがやってきた。

「アキト、明日は空港に行くわよ。ユリカちゃんのお見送り。」
その言葉を聞いたアキトの瞳は大きく見開かれた。
(どうしたの?アキト。)
(母さんと父さんが暗殺されたのは空港でなんだ。)
(それって・・・・)
(そうだ。明日二人は殺される。)
(そんな!!!)
(明日は大変そうになる。)
(はい。)
リンクでの会話を表情に出さないようにしていた2人。

「わかった。」
「それんらよろしい」
そう言ってナツミは出て行った。

翌日

テンカワ一家は空港に来ていた。跳んでゆくシャトルを見ながら旗をひらひらと振るラピスとアキト。
その後には一緒に来ていたナツミとアキラが居る。シャトルが見えなくなると4人は歩き始めた。
「ユリカちゃん、行っちゃったわね。」
「うん。でも・・・」
「でも?」
ナツミはアキトの顔をのぞく。
「俺にはラピスが居るから。」
その会話を聞いていたラピスの顔が真っ赤になった。ナツミは微笑んだまま言い返す。

「そうね。」
と、その瞬間、空港内で爆発が起こる。呼び散ったガラスからナツミとアキト、ラピスを守ろうと、
アキラは3人の上に被さった。
「うっ!!」
風がやみ、4人は立ち上がる。
「大丈夫?アキラさん。」

心配そうにアキラを振り返るナツミ。
「ああ、大丈夫だ。」
気丈な態度で言い返すアキラにナツミは安堵した。そんななか4人の前に3人のスーツ姿の男が立ちはだかる。
「テンカワ博士ですね。」
「お前は何者だ!!!」
アキト達を守るように立ちはだかるアキラ。
「それは知らなくて良いことです。」

そう言ってスーツの男が懐から銃を取り出した。しかし、その男は倒れることとなる。
小口径の弾丸が心臓に立て続けに3発撃たれたのだ。
「残念なんだけど殺されたくは無いな。死んでもらおう。」
唖然としているアキラとナツミを無視して更にアキトが銃を撃つ。2人目の男が倒れた。
アキトはよどみない仕草で弾丸のカートリッジを交換する。

そして、ドン!!3人目の男が倒された。
「アキト、どうしたんだ?そんな銃も何処で?」
アキラがたずねてくるがアキトに余裕は無かった。

「父さん、母さん、家に戻ろう。生きてるって判ったら又シークレットサービスが来る。」
「「シークレットサービス!!」」
2人の顔にも驚愕の色が広がる。
「話は後で聞く。そう言うことなら早く出よう。」

そう言って駆け出そうとした矢先、静かな声が響いた。喧騒の中、服を白で統一した一人の青年が言う。
「そう言うわけにはいかないんだよ。守護者。」
「何!?」
「君には眠っていてもらおう。」
アキトの意志が薄れてゆく。
「アキト!!!」

アキトに駆け寄るラピス。その彼女にも少しの痛みの後意識を失ってしまった。
アキトとラピスをパラライザーで眠らせた青年がアキラとナツミに振り返る。
「さあ、死んでもらいます。」
そう言って青年はアキラを撃つ。凶弾の前に倒れるアキラ。

「ナツミ・・・・・お前だけでも・・・・逃げろ。」
しかし、彼は容赦なく近づいてくる。恐怖に震えてしまうナツミ。
しかし近づいてきた彼がいきなり頭を抱えてひざまずく。

「く!!」
「え?」
その間にナツミを光が包む。
「これは・・・・ボソンジャンプ?」
そういった後にナツミは倒れてしまった。光は収まり。青年が立ち上がる。落とした銃を自らの懐にしまい、ナツミに近づく。
腕に手をあてても、その腕は冷えていた。
「死んだか。」
それを確認すると青年はアキトとラピスのそばを通り抜け、去っていった。

ゆっくりと意識が覚醒してゆく。
まず、最初に入ってきたものは・・・・・・・冷たくなったアキラとナツミ。
「父さん、母さん?」
アキトはアキラの心臓に手を当てる。
「死んでる。そっちは?」
ナツミの腕を持ったラピスは首を振る。
「ダメ、もう、死んでる。」
冷たく、ゆがんだ笑みを浮かべるアキト。
「また、ダメだったな。」

その笑いは自嘲だったのかもしれない。



うわーーーーーー!!こっぱすかしい!幼稚、設定の後付、なんとなくで向かう方向。
突発的な思いつき!!なんたる未熟、何たる煩雑!なんたる愚か!現在で覚えている設定そのものがないのに・・
ただひとつ、褒められるとすれば文章の量しかない。
2007.02.09




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